言いたいこと:世の中には多彩な仕事があり、一部の有名企業だけが仕事ではないこと。
対象:就活生
1.就活生の現状
2.有名企業だけを受ける浅はかさ
3.没個性とエリート思考
4.視野を広げよう
5.好きなことをしよう
6.まとめ
1.就活生の現状
12月1日から企業の就活がスタートしたという。
なぜ12月1日からスタートなのが、そもそも疑問なのだが、ググったら経団連によって定められたらしい。
かわいそうに。
で、12月から就活生が一斉に世に放たれ、真新しいリクルートスーツに包まれてスマホと睨めっこしている姿を目撃するようになった。
今は各企業が説明会や合同説明会など開いているのだろう、説明会にも定員があり、そのエントリーは有名な企業だと1時間もたたないうちに締めきってしまうので、就活生はスマホがかかせないらしい。
登録した企業からメールが飛んできたら、直ぐさま、エントリー。
いやー地獄ですな。
5年前に就活を一応体験した身としては、スマホの普及が就活生に更なる負担になっているのだと思うのだが、就活生は一体どう思っているのだろうか?
私が就活を経験した2009年はiPhone3GSが発売された年で、私はiPhoneを使って移動中の情報収集は格段に楽になった。
会社のHPを見れるし、マップは便利だし、会場の行き方も事前にプリントアウトしなくても済んだ。(スマホからリクナビの登録とか出来なかったが)
でも今はみんながスマホを持っていてエントリーもできて、常にスマホに追われる状態になっている。
就活生はスマホを通して、リアルタイムか且つ継続的に就活という呪縛に縛られることになった。
それが一員かは分からないが、原因・動機が「就職失敗」及び「その他進路に関する悩み」による20歳代自殺者数の推移は年々増加傾向だ。
資料出典:警視庁「自殺統計」より内閣府
実際には、自殺の原因は、圧迫面接や、幾度にも送らてくる『お祈りメール』が大きいのではないか?
気にしない人は気にならいのだが、一番行きたかった企業から『お祈りメール』を頂いたり、そうでなくても20、30社と面接して落ち続けたりすれば常人でも病んできそうだ。
就活生が自殺する理由は大きく報じられていないが、その就活生の自殺増加という結果が存在する限り、理由があることは間違いない。
特にリーマン・ショック以降、企業は採用を絞り、就活で採用される人はどの企業にも採用される、採用されない人は何社受けても採用されないと2極化が起きていた。
2015年の採用で株式会社ドワンゴが就活生から2525円の受験料制度を導入することで話題になったが、これはいい取り組みである。
誰もが簡単に企業を受けるため、企業は多くの就活生を時間内に選定しなければならないし、学生も落ちることを前提に多くの企業を受けなくてはならなかった。
この受験料制度で一石を投じたのは素晴らしいことだが、一社では意味は薄れる。2525円も1回の飲み会程度で金額も高くない。
やるなら、ある程度有名企業100社ぐらいが1万円程度の受験料を取るなどしないと今の就活という市場は変わらないだろう。
(地方問題や、家庭の収入問題も考える必要がある)
2.有名企業だけを受ける浅はかさ
問題は就活生を市場と捉えている企業だけではない。
大学生の多くも問題を抱えている。多くの大学生は遊んで過ごしている。統計はなくても、思い出して欲しい。
そんなにあなたは熱心に文献を読み、研究、実験し、企業から認められるような結果を残したのか。
ボランティアもサークルの結果など企業からすれば、どうでもいいことだ。
一体企業の何の利益につながるのだろうか?
もちろん、それらが意味をなさないということではない。ボランティアもサークルも思いっきりやるといい。必ず役に立つことがある。
ただ、そんな高尚なアピールポイントを持って有名企業に挑んでも、殆どはお祈りメール貰っておしまいであろう。
なぜか?企業にとって採用というのは10年〜40年に渡って会社の運命を共にする人材選びであるため(これもおかしなことだが)one of themである貴方の採用は殆ど無いことだ。
試しに計算してみよう。
週刊東洋経済臨時増刊、就活応援号に掲載された、2012年度の採用において、新卒の採用数が多い企業のランキング80位までの合計を出してみた。
なんと、24473人!!
2012年度の採用で、有名企業80社足しても3万人届かない。
一体、一学年に大学生がどれだけいるのか、明確な統計がなかったのだが、文部科学省の学校基本調査-平成22年度(確定値) 結果の概要によると、大学生は255万9千人、大学院学生は27万1千人。
単純に大学生の4回生は64万人、大学院生は博士課程にも進む人もいるが、6割がけで計算してみると16万人。計80万人近くが就活の対象ということなる。
このなかで就活する人は全体の何割だろうか?感覚的には8割ぐらいだろうか?
すると65万人程度、この20%が人気企業を受けると、13万人!!
採用人数TOP80社で2万4000人なのに、13万人も受けたら、合格率は18%、5社、6社受けて内定1社ということになる。
どうだろうか?有名企業の5,6社を受験し、内定1社というのは感覚とあっているだろうか?
これは個人によってかなり異なるが、殆どの人にはかなりいい内容ではないか?
これは単純計算で割っただけだ。
実際には内定を取る人は何社も受かり、取れない人は10社、20社と落ち続ける。
やってみると、如何に不毛だが分かる。
3.没個性とエリート思考
就活したことがあると人なら分かると思うが、この世界には就活本となるものがある。
就活本とは、履歴書の書き方から、企業のエントリーシートの書き方、面接の攻略法、女性なら化粧の仕方まで”内定”を貰えるためのマニュアルが記載されている本だ。
右も左も分からない就活生は、まずこの就活本を買ってしまう。
そしてテンプレート通りの行動を取るようになる。
就活生が一発で就活生と分かるのは、それ所以だ。実にわかりやすい。
こんな話がある。「私服で面接を受けたら怒られた」
要約すると、私服でOKの面接で、ポロシャツとチノパンで行ったら、「ネクタイは常識だろ」と怒られた話だ。
この話が本当かどうかは分からないが、まぁありえそうな話ではある。
容姿に拘らないといいながら、茶髪を許さないとかもある。
だから、みんな3年の夏までは茶髪なのに、冬になると黒髪に戻すのだ。
で、茶髪の何が気に食わないのだろうか?黒髪じゃないと何か不都合が起きるのだろうか?
常識という一言で片付ける貴方は、一度、その常識が一体何のか考えて頂きたい。
こんな感じで世間の一定の圧力とテンプレートで鋳造型就活生の誕生だ。
就活生は不安でどんどん型通りの人間になっていく。
それでは、この没個性の鋳造型就活生が有名企業に受けたら、どうみえるのか?
A.どれも同じに見える。
本当だ、私も採用の面接を受けに来た学生とディスカッションしたが、本当にテンプレート通り。
エントリーシートも似たり寄ったり。
これだと選べないので、企業が有名学校や教授推薦で絞り込もうとするのは当然だ。
中堅以下の学校に入った人は、自分の運命を呪うがいい・・・というのは嘘だが、(一流大学、無名大学に限らず)有名企業をあえて受ける必要はない。
理由は上記の2で書いたが、そもそも採用に上限があるので、有名企業をいくら受けとようがエントリーの無駄だ。
貴方が受験して受かる確率はかなり低い。
自分のアピールポイントが企業にクリーンヒットしない限り、受かる確率は殆どない。
では、どうするのか?
まずは、エリート思考を無くすことだ。
自分だけは受かりそうなんて、万が一にも思わないほうがいい。
受かったらラッキーでも、仕事したら辛ことばかりだ。周りは超優秀。
けど、自分は会社に貢献できない。
焦燥感と空回り、周りからの白い目で精神的に苦しめられるだろう。
そんな自分を追い込まなくてもいい。追い込めばまた自殺率が増える。
あなただけの問題だけでもない。
数多くの大手が赤字を決算している今、一部上場企業だろうが、外資だろうが、潰れるときは潰れる。
そんな危ない橋を渡らなくていい。
4.視野を広げよう
有名企業でなくても、良い会社とはいっぱいある。寧ろ、良い会社のほうが世間の前に出てくること少ない。
学生は市場の一部しか見ていない。(全部見られる人はいないが)
それは、商品が有名な企業だったり、普段使っているサービスだったり、テレビでよく見かける企業だったりする。
確かに、普段使っているサービスや有名な会社は合コン受けがいいし、自分の“ブランド”が上がった”気”にもなれる。
でも、それが続くのは何年だろうか?
これからは企業がこの先も何十年と続くことのほうが難しくなると思う。
より大きな資本が効率よく市場を独占し始める。
合併ならまだしも、市場を奪われ潰れてしまうかもれない。
生き残るのには、どうすればいいか?
まずは、広い視野を持つことが重要だ。
固定概念や常識というもの捨て、何故かを常に考えよう。
1つぐらい世間の可怪しさに気づけば、数珠繋ぎ的に色々な発見ができるだろう。
また、色々な本を読んだり、ブログを読んだりしたら、自分の考えを書いてみることだ。
間違っていたっていいし、幼稚だと思われても構わない。
そんな人に構っていたら負けだ。
もし、あとから間違いに気づけば、適宜訂正していけばいい。
5.好きなことをしよう
就活に話を戻すと、実際、就活なんてしなくていいだと思う。
好きなことやればいい。
好きなことが見つからないなら、バイトでもサークルでもいいから自分がやったことないことをやってみるといい。
居酒屋のバイトは経験があっても肉屋や魚屋でバイトしたことある学生は少ないだろう。
そういうところで勉強も兼ねてバイトしてみるといい。案外好きになるかもしれないし、嫌ならやめればいい。
熱中することを探すことは難しいかもしれない。また、時間ともに熱中の対象は変わっていくのもしょうがない。
それでも、実はくだらないと思うことでも、社会が必要として認めてくれるかもしれないし、役に立つことがあるかもしれない。
6.まとめ
長々と書いてしまったが、言いたいことは冒頭一行目に書いてある。
あと蛇足になるが、個人的には就活なんて滅びろと思っている。あのシステムは新卒とそれ以外を大きく隔ててしまう。
新卒で入社しないと企業の求人がガクッと少なくなる今のシステムは長期的に見れば企業も就活生にもいいことは起きない。
就活に失敗≒人生の終わり なんて、こんな悲しいことがあるだろうか?
全員が幸福になることはできないかもしれないが、一度の失敗で命がなくなるこの世の中を幸福な社会と呼べるのだろうか?
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