ブラック企業で過労死 私の会社で起こった本当の出来事

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20代死因の半数が自殺。私たちに何ができるか?(小倉 広) – 個人 – Yahoo!ニュース.

 

死とは何なのだろうか。
この世に生まれてきてからには必ず死は訪れるが、
誰もが死んでから語ることは出来ず

死後の世界は宗教や人生の経験から語り継がれてきた。

けれども、普段の生活では、死についてそこまで考える必要もないし、
若者にとってはとても遠い存在に感じる。

しかし、その死の経験に疎い若者が自殺をしてしまっている。
ニュースにもある通り、20〜39歳の死因の第1位が自殺なのそうだ。

ここまで多ければ、身近に自殺者がいてもおかしくない。

というか、私は身近に自殺してしまった友達がいる。

 

きょうはその話をしよう。
関係者も読んでいるかも知れないが、これは全て事実で、ある意味告発である。

 

 先輩の自殺。


3年前の2010年、私はある会社に務めた。
千葉県の千葉市にある会社で、業界では世界大手の会社だ。

辞めた会社を悪くいいたくはないのだが、世間で言う所の”ブラック会社”であった。

 

労働時間が異常に長く、一日15時間は当たり前。
特に台風や地震などあると帰れない日もあった。

給料は年俸制で、どんなに長く働いても、夜勤をしようが、土日祝日だろうが手当は全くなく、
月の休みはほとんど3日か、あって5日という有様だった。
これは私の部署での話だが、他の多くの部署もこのような感じであった。

同期は30人、1人辞め、2人辞め、次々と辞めていった。
そのなかでも入社前からディズニーに行ったり、親交のあった同期がいた。
ここではXとしておこう。

入社から半年。その会社では入社からOJTで仕事をしながら研修をするが
1ヶ月には仮配属研修、半年には本配属研修がある。

この本配属研修とは、『予選期間』という半年間のOJTを見て
上司が面談し予選通過と言われなれば参加できず、
不合格者はこの研修に来られなかった。

Xはその本配属研修に来られなかった1人であった。

Xは明るく真面目で気が利き優秀だった。
しかし、予選で落ちた。
普通に考えて、私よりはるかに優秀な人間が落ちてしまった。

本配属研修に行く前にXと話す機会があり、窓際でこんな事を言っていた。
『最近、怒られてばかり・・・。悩むと動けなくなってしまう癖があって・・・』

えらく落ち込んでいたけれども、そのときは何も言えなかった。

そして、本配属研修。Xら数名の同期を残して、福島の小名浜で研修を受けた。

その一日目。社長から考えもしなかった衝撃の一言を聞かされる。

 

『どうやら、キミらの先輩で自殺した家族から裁判を起こされる。』

え?ってなった。そこにいる同期、全員え?ってなった。

 

過労死って何?

裁判って何?

 

『実は2年前のきょう、君たちと同じだった新入社員が自宅で自殺した。』
『その家族が、きょう裁判所に過労死の認定と賠償で提訴されるようだ。』

 

頭がくらくらきた。

何言ってんだ、この人。

全く理解できなかった。

2年前にそんなことがあったなんて知らないし、(死んでしまった同期の)先輩の社員さんだってそんなこと言ってなかった。

半年間、洗脳みたく会社の文化を染みこまされ、
長時間働くことになんとも思ってなかったのが

何かプチンと切れてしまった。

 

そして極めつけは社長の一言。
『彼(自殺してしまった先輩)のお父さんも自殺してるみたいだからね。遺伝かね。』

そのとき、絶対にこの会社辞めてやるって思った。
全てが信じられなくなっていった。

予選がもたらしもの


研修から帰ると、Xの様子がおかしかった。

落ち着いた感じで、笑顔が素敵なXだが、そのときは違っていた。

テンションが高く、凄い勢いで喋ってくる。
合いの手もいれることができないぐらいテンションが高い。

一応話は聞いたが、話自体は脈絡もない一貫性もない言葉の羅列であった。

 

また私は次に日から社畜のように働いていた。
本配属されたのだから、容赦はないとのことで、一日の勤務時間が15時間から18時間ぐらいになった。

自分のことで精一杯でXのことも忘れかけた頃、Xの同じ部署で同期の友達からXが休んでいることを聞いた。

理由までは聞かなかったが具合が悪いそうで、しばらく有給で休むとのことだった。

その後、Xは出社したが部署を変えた。
部署を変えることは珍しいことではないのだが、本配属してからすぐに転部というのは、何かあったなと悟った。

仕事の合間にXに会いに行き、話を聞くと、うつ病になってしまったと聞かされた。
彼女の口から聞いただけので、本当にうつ病かは分からなかったのだが、
会うたびにテンションが高かったり、低かったり、突然泣き出したり、上の空だったりしていた。

 

けれども話は盛り上がって、いつ辞めようか2人で話し合っていた。
また、Xが結婚することも聞かされた。
若干、自分の心が揺れたが、Xが幸せそうな顔していので自分も喜んでいた。

 3.11の余波


それからしばらく経った、2011年3月11日。

東北沖を中心とするM9の大地震が起きてしまい、会社はてんてこ舞いになった。
会社総動員で、1ヶ月近く不休であった。
私もほとんど家に帰れず、帰ってもシャワーを浴びて1時間寝て、また出社であった。

3.11から2ヶ月経ってようやく落ち着きを取り戻したころ、

ついに折れた。

 

ポキって音がした。

心と体が完全に離れ、動けなくなってトイレで泣いた。
泣いた理由はよくわからない。

 

そのとき、ちょうど大学の友達から電話があり、びっくりさせてしまった。
トイレの個室でワンワン泣く私を彼はどう思っていたのか。
今は恥ずかしくも感じる。

そんなこんなで、医者行って診断された結果が自立神経失調症。
こいつはやっかいで、気持ちと体が一致しないので、やる気があっても体が言うこと聞かない。
本当に動けなくなってしまうのだ。

体はだるいし食欲もないのに、性欲は高まるという変な症状であった。

なんとか2週間の休みを貰って出社。
部長課長クラスと面談し、辞めると言ったが、部署を変えるとうことで働くことになった。
弱い私。自分の意見を通せなかった。

 

部署が変わって一日目。Xがいた。
なんと同じ部署にまわされたのだ。
働きやすい部署として有名なのか、そのときは知らなかったがXは以前のように笑顔になっていた。
ここなら私も安心かもしれないと思った。

確かに新しい部署は以前の部署に比べて楽であった。
出社時間も退社時間も一定で(前部署は毎日出社、退社時間がランダム)楽であった。
これなら、続けていけると思った。

が、1ヶ月もしないうちにXが違う部署に回された。
もう容態も安定してるし、大丈夫だろうということだった。
その後、私も同じく、Xとは違う部署に変更となった。

私は異動したくなかったが、Xが異動して結構頑張っていたし
私も異動する気になったのだ。

私は次の部署で立ち直って、もう一回頑張ろうと思っていたが
人間関係が上手くいかず、自立神経失調症の再発はならなかったもののやる気はどん底であった。
ミスもかなりしてしまった。

 繰り返される悪夢


そして、また配置異動になった。

今度は、信頼のおける上司であったのと、はやく今の部署から抜けたくてすぐに異動した。
嬉しくて、その部署で頑張って仕事していた。

 

Xとはいうと、また病気が発病したらしく、もとの部署に戻っていた。
また休養を取りつつ働いていたみたいだ。
ところが。

夏のある日。

信頼する上司からXのことを尋ねられた。
『キミ、Xのこと知ってるよね?』
『はい、同期ですし、同じ部署で働いたこもありました。』

すると、上司は少し黙ったあと、
『Xのことで緊急の全体会があるから急いで』と言って一緒に会議室に向かった。

 

嫌な予感しかしなかった。
Xが仕事や結婚のことや、親のことで悩んでいて、また具合が悪くなっていたことを知っていたからだ。

 

会議室は、入った瞬間、重苦しい空気が漂っていた。
もう何となく分かっているけれども、そんなことはありえないと否定しようと一生懸命だった。

 

そして社長の口からXが自殺したことを聞かされた。

自分のなかでどう整理をつかていいのか分からなかった。

それは、Xが自殺してしまったこと受け入れなければならないと同時に
Xが悩んでいることをしりながら全く何もできなかった自分が見えてしまったからである。

 

私はあのとき、人前で見せたことがないくらい泣いた。
結果、過呼吸に陥った。
トイレで自分が苦しくて泣いていたときとは比べ物にならないくらい、泣いた。

25年生きてきて働き始めて2年間で会社内で自殺者が2人。うち1人は、同期。
やってられなかった。

信頼する上司のもとで働けたのは幸せであったが、それ以上に会社を辞めたいとう気持ちが大きくなった。

もともと、半年の本配属研修のときに辞めると誓ったのに、正社員という地位と給料目当てでズルズルと働いてしまった。
これはいけないと思い、次の週には辞めると上司に相談した。

上司は私のことを買っていてくれて、辞めるなと何度も説得してくれたのだが、2012年いっぱいをもって退職した。
こればかりは本当に申し訳なく思っている。

退職するにあたり、有給の日数を確認するために総務に行って(総務部に行かないと、自分の有給が分からない)有給を確認したら40日程度残っていた。
有給は、2週間の休み以外、使っていなかった。
その資料には、社員全員分の有給所得が書いてあり、チラッと見たところ、みんなほとんど使っていなかった。

 逃げるが勝ち。

 

若者自殺。社会にはびこるブラック会社。
自分とは関係ないと思っていたら大間違いであった。

私は、Xを通してブラック会社も自殺も目の当たりにしたのだ。
結果、何もできなかった。
自分が会社を辞めることすら、ズルズルと遅れてしまった。
長く会社にいれば、自分も同じ運命を辿ったかもしれない。

 

逃げてよかったと思っている。
若者よ。辛かったら逃げろ。
根性論だけでは、どうにもならないのだ。

 

ブラック企業は根性論を会社の文化として押し付けてくる。
分かっていても絶対にハマってしまう。
だから勇気を持って逃げよう。

 

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